文京区西片は、武家屋敷の流れをくむ高級住宅街のあるエリアで、樋口一葉や夏目漱石など近代文学を作った人々が暮らしていた「学者町」としても知られています。
「やっぱり文京区に住みたい!」と考えるみなさんからの注目も高いのではないでしょうか。
文京区西片の住みやすさ・治安についてみていきましょう。
1. 西片の治安情報
文京区は犯罪発生数そのものが少ない落ち着いたエリアだという評判が高いです。
東京大学があり、昔から学者町として呼ばれていたことや、明治維新で伯爵になった阿部家が持っていた土地を宅地として開発した邸宅街があった影響もあるのでしょう。
警視庁がまとめた統計などをもとに、西片の治安情報をみていきましょう。
1-1. 犯罪件数
警視庁がまとめた平成29年の統計によると、西片1丁目、西片2丁目で起こった犯罪件数は26件でした。
内訳は…
- 凶悪犯0件
- 粗暴犯1件
- 侵入窃盗2件
- 非侵入窃盗9件
- その他14件
全体に犯罪発生数そのものが少なく、非侵入窃盗の内容はオートバイ1、自転車4、万引き4でした。
その他の犯罪では、詐欺事件が5とやや多くなっていますが、平成30年の11月までの統計ではすべての犯罪発生数が12件で、年末に犯罪が起こったとしても、去年の水準に届かないのではないでしょうか。
1-2. 犯罪発生率
人口1,000人あたりの犯罪数は4.8件です。
住民基本台帳による平成29年の西片の人口5,404人に対して、犯罪件数26件で計算した数字です。
台東区では、人口1,000あたりの犯罪発生件数が30件、文京区全体で見ると6.1人になります。
犯罪発生率の少ない文京区の中にあっても、西片は、さらに犯罪発生率が少ないエリアだといえます。
1-3. 外国人居住数
平成30年12月1日現在、西片に住む外国人の数は、西片1丁目86人(3.49%)、西片2丁目170人(5.71%)となっています。
西片の人口5,404人中256人ですから、割合にして4.73%です。
1丁目地区では東京の平均割合の3.82%より低いものの、全国平均の1.8と比べるとかなり高い率になっています。
高台地区が多くなる2丁目では東京都の平均よりも、ぐっと高い割合になっています。
2. 西片の住みやすさ情報
西片には高級宅地として発展した高台地区があり、学者町と呼ばれていました。
また、公立小学校の中でも人気の高い「誠之小学校(せいししょうがっこう)」があることでも知られています。
治安がよく昔ながらの古民家や洋館が残っている場所があり、風情が感じられる一方、坂道や曲がりくねった道もあるので、高齢者の方には負担がかかるかもしれません。
西片の住みやすさ情報を紹介しましょう。
2-1. 住民層
関東大震災や第二次世界大戦でも難を逃れたエリアがありますが、時代とともに相続後分譲マンションや戸建てに変わって行った場所も増えています。
意識の高い富裕層エリートが多く、高台にゆったりとした邸宅で暮らしている人もいます。
人気の高い公立小学校・誠之小学校の校区であることから、西片に移り住むケースもあり、教育やしつけに熱心な家庭が多いと言われています。
2-2. 家賃、物価相場
1Kでは9~10万円前後、2LDKでは15~20万円くらいになっています。
また、賃貸マンションではやや築年数の経ったお手頃家賃の物件もありますが、西片での2LDK以上の築浅は稀少です。
年数が経った物件なら、2LDKを15万円程度で見つけられることがありますが、築浅や広さがある物件を探すなら20万円では収まらないかもしれません。
2-3. 交通アクセス
西片は、西片駅がなく三田線、南北線に囲まれるように位置していますから、JR駅からは少し離れています。
西片2丁目の住宅街からは、三田線白山駅、南北線東大前駅が最寄り駅になりますが、どちらにでるのも5~10分前後かかる場合が多いでしょう。
また、都内の中央部にあるのでどこへ行くにも移動時間が短くてすみます。
南北線で六本木1丁目まで15分、後楽園まで3分、三田線で大手町まで9分です。
また、都バスだけでなく文京区のコミュニティバス「ビーグル」(千駄木駒込ルート)に都道から乗ると、シビックセンター(市民会館)やJR駅にいきやすいでしょう。
目白台・小日向ルートと組み合わせると、行動範囲が広がります。
2-4. 買い物(スーパー)、ショッピング
都道301号沿いにイオン系の小型スーパー「まいばすけっと」、ホームセンター「オリンピック」、国道17号線沿いに「ミニピアゴ」があります。
西片の中に入ってしまうと住宅が多くお店がありませんが、白山、小石川にでるとそれなりに日常の買い物ができるお店も増えてきます。
国道17号沿いや東大側なら根津方面、都道301号寄りなら小石川に「クイーンズ伊勢丹」や「ダイエー」もあります。
2-5. 子育て環境
文化的な風土があり、落ち着いた土地柄だということで文京区西片を選ぶ人も多いようです。
一時保育のキッズルーム、子どもショートステイなどのほかに、「子そだてひろば西片」の運営も行われており、親子で自由に遊んで良い遊具やスペースが提供されています。
保育園の状況については、申込みが通るのは65.5%ほどといいますから、厳しい面もありますが、都内の入園率の中では中の下くらいとなっています。
2-6. 教育環境
文京区で子育てしたい理由に、東京大学があること、小学生の学力が高いことをあげる人が多いものです。
中でも西片を校区とする「誠之小学校」は、福山藩の藩校「誠之館」を前身とし、公立校の中でトップの名門校と言われている小学校です。
公立小学校なので校区に住んでいなければなりませんから、誠之小学校入学を考えて西片に引越してくる家庭があるほどです。
このため、教育やしつけに熱心な人が集まってくると言われています。
3. 西片のおすすめスポット
3-1. 『東大の赤門』
日本の頭脳が集まる場所ですから、一度訪ねておくと恩恵にあやかることができそうです。
東京大学のシンボルとも言えるスポットです。
3-2. 『樋口一葉旧居跡・終焉の地』
「たけくらべ」などで知られ、五千円札に肖像が印刷されている樋口一葉が住んでいた家、亡くなった場所に石碑が建てられています。
夏目漱石の「魯迅旧居跡」、坪内逍遥の旧居跡など、近代文学の偉人とゆかりの深い場所がたくさんあります。
3-3. 『富士見湯』
昔ながらの歴史を感じさせる銭湯。
建物を見守るように茂る森は、先代が薪を確保するためにがけごと買いとったため、今も木々が茂っています。
4. 西片に住むなら教育や文化に触れたい人におすすめ
4-1. 『教育熱心なファミリー』
誠之小学校入学を希望しているファミリーは校区の関係から言っても、西片がおすすめです。
身近に東京大学をみながら勉強に打ち込めば、目標を高く持つことができますから、意識が高いファミリーが集まってくるエリアです。
広い間取りを希望するなら、戸建賃貸、低層高級マンションも選択肢に入れると良いでしょう。
4-2. 『文学やアカデミックな空気に憧れる人』
周辺に文化的な史跡がありますし、東大をはじめとした有名大学や研究機関が近くに集まっています。
アカデミックな空気を好むエリートが集まる土地柄で暮らしてみたい、お勤めが近隣大学や研究機関という場合は通勤の面でも助かります。
5. 西片の治安・住みやすさ情報まとめ
- 東大があり誠之小学校校区なので教育環境の良さを求めて来る人もいる。
- 西片は昔から学者町と呼ばれている歴史あるエリア。
- アカデミックで上昇志向の高い人が集まる街。
JRに直結する駅へのアクセスが弱いものの、山手線の内側にあり、都内のどこに行くにも移動時間が短いのが特徴です。
アカデミックな空気が感じられる「東京の中心にくらしてみたい」という人に、西片はぴったりなエリアなのです。